ドイツゲーム紀行
『ゲームの日'02』〜前編〜

 ドイツでは,ゲームが文化として国民に浸透しているということはよく聞きま
す。日本でも有名なハバやドライマギア,ツォッホなど,どのメーカーのゲームも素晴らしく,しかもそのようなゲームが1年間に何百というタイトルが発売されていると聞きます。日本にいては全く理解できない世界であります。この文化を象徴
しているのが毎年10月末に行われるゲームの祭典『ゲームの日』です。会場となるエッセンメッセは会場19室からなる大施設です。資料によると延床面積11haと,サンメッセ香川の10倍以上もあります。ゲームの日には,この会場を全面貸切で開催され,延べ20万人もの来場者が有るとか。全くもって信じられない規模です。ゲーム普及団体を主催しながらも,長年話だけは聞くものの,全くその全容がつかめずにいました。一体それはどれほどの物なのか?しかし,ついにこイベントに参加できる機会が巡ってきたのです。

百聞は一見にしかず。今回の渡独はドイツのゲーム事情を体感する旅となりまし
た。そしてそれは予想をはるかに上回るものだったのです。

会場に到着したのは午前10時前,開場前だと言うのに,エントランスは既に黒
山の人だかり。人人人…いるわいるわで,もう既に身動きがとれない状態です。軽く
見渡すと非常に多様な来場者があり,若者世代が中心であるものの,
恋人達,老夫婦,ベビーカーを引いた家族,小学生の親子(「今日は平日なんです
けど学校はどうしたんですか?」)と老若男女,世代を問わず幅広い年齢の参加者
が見えます。また,男女比にしても6:4くらいと,開場前からドイツにおける
ゲーム文化の深さを感じさせられました。

さて,それでは子ども向けゲームを扱う各メーカーのブースについて報告してい
きます。
◆ツォッホ
 '01年には『ザップゼラップ』で子どもゲーム大賞を,'02年には『ヴィラパレッティ』で年間ゲーム大賞を取ったメーカーで,過去には『にわとりはねとり競争』などの受賞もあり,非常に根強い人気を持つゲームです。今回の注目は何といっても積み木を積み上げていくバランスゲーム『ヴィラパレッティ』です。プレイテーブル20台が家族で埋まり,あちこちで積み木が崩れる音が響いていました。また,通常の5倍以上もの大きさがある巨大な『ヴィラパレッティ』(売り物)もありました!新作ではサイコロを転がすレースゲーム『サイコロモグラの王様』や,綱引きをしながら蜂蜜を集める『熊と蜂蜜』も実に良いゲームでした。

◆ドライマギア
 『すすめぶたくん』で有名なドライマギアのブース。ここではゲームというより
も,大量のこぶたで積み木をしている子ども達が印象的でした。こぶたの数も500個程とその量も半端ではなく,写真にもあるように,さらに巨大な豚のおもちゃ箱までありました。そして何と,デザイナーのアレックスランドルフ氏(夫妻)がいらっしゃるではないですか(感動)!さっそく,日本から来たゲームファンであることを告げ,将棋についてや日本のゲーム事情について会談し,サインまで頂きました。ちなみに,今回は氏の功績を記念して,これまでデザインしてきたゲームが展示されていました。その量と質には圧巻でした。

 会場内には更なる興奮が待ち受けていました。これについては次回に触れること
にしましょう。ハバなどその他のメーカーについてレポートします。こうご期待く
ださい。

ドイツゲーム紀行
『ゲームの日'02』〜後編〜

 皆様こんにちは。ドイツ『ゲームの日』のレポートの後編です。はたして開場の
中はどうなっているのか?ここから話が始まります。
 開場と同時に,ロビーに溢れかえっていた群衆が一斉に会場内へかけ込みます。
会場に入ってびっくり,会場いっぱい所狭しとメーカーやショップのブースが立ち
並びます。しかも,ほんの一部を除いてすべてがアナログゲーム(電子機器を使わ
ないゲーム)です。さらに,こんな部屋が奥へ奥へと…合計12室も続いているので
す。
 先ほどまでロビーにいた人々はというと,もうみなさんゲームに夢中です。各
メーカの遊びの広場で新作ゲームを遊ぶ親子(注:平日です),マニア向けゲーム
を買って行く女の子のグループ,親子3代でゲームを物色する家族と,見るもの全
てが新鮮で,いずれも全く日本ではお目に掛かれない光景が,繰り広げられていき
ます。ゲームが文化として浸透するということはこういうことであり,私の目標に
するゲームの有るべき姿だと表現に尽くせない感動を覚えました。

 それでは各ブースの解説に参りましょう。
◆ハ
 中でもひときわ子ども達の人気を集めていたのが,'02子どもゲーム大賞『大追跡』で有名なハバのブースです。『カヤナック』や『マーブルすくい』など,とても素晴らしいゲームを安定的に供給しているメーカーです。会場では,プレイ卓30台は全て埋まり,空いている床に座ってまでゲームを広げている家族もいます。中でも目を引いたのが巨大な『大追跡』(写真)です。探偵に扮したお姉さんが子ども達と遊んでいました。残念ながら,新作『ドワーフの王様』は間に合わなかったとのことでした。

◆ドン・ウント・コー
 ちょっと聞きなれない会社ですが,『ギプフ』や『デュヴォン』等とても素晴ら
しいゲームを作っているメーカーです。この会社が作るのは全てアブストラクト
ゲーム(『囲碁』や『将棋』,『アバロン』など運の要素が無い抽象的なゲーム)
で,毎年ドイツのゲーム大賞に入賞するゲームを発表しています。また,ヨーロッ
パだけでなくアメリカにおいても大賞を獲得するなど全世界で高い評価を受けてい
ます。かといって一部のゲーム好き向きかというとそうではなく,初心者向けルー
ルから上級者向けルールまで用意されており,写真に有るように,親子でゲームを
する姿も多く見られます。今後,日本でも人気が出る可能性があり目が離せませ
ん。

◆中古ブース
 『ゲームの日』でもう一つ目を引いたのが,中古ブースの存在です。これまた広
いスペースに20件もの中古専門店が所狭しと軒を連ねます。中でも圧巻だったの
が,絶版や生産中止などで全く手に入らないと思っていたゲームが大量に売ってい
るのです。しかも,安価なうえ保存状態も新品と見まがうほどです。ここも一部マ
ニア向けではなく,乳母車を引いたお母さんの姿も見えるのです。日本では漫画や
コンピューターゲームの中古市場が確立している様に,ゲーム中古市場の需給バラ
ンスが保たれていることも,ゲームが文化として浸透している証明と言えましょ
う。

*その他,セレクタ,ラベンズバーガー等,レポートすべきブースが多々あるので
すが,筆者が正気を失ってメモも撮影も忘れていたため,今年はご勘弁いただきたいと思います。

 『ゲームの日』を通じて体感したドイツに根づくゲーム文化の奥深さに,ドイツを始めとした世界のボードゲーム(もちろん日本のボードゲームも)が日本でも普通に遊ばれるようになればどんなに素晴らしいことかと思い,全国の有志と共に活
動を開始しました。ボードゲームが,友達との間で,家庭でそして世代を超えて広く遊ばれる文化となることを目指して。


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